とある大学のTechnician(技術職員)

とある大学の技術職員の海外研修の記録です

第45週 FullProf備忘録

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     FullProfによるリートベルト解析結果

家族が一緒だった時は、毎週、どこかしらへ遊びに行っていたので、ブログネタに困ることはありませんでしたが、最近は週末に雪が降ると、買い物すら行かずに引きこもり状態・・・ということで、ネタが尽きてしまったので、自分以外には何の役に立ちませんが、しばらくの間ネタが見つかるまで、自分の研究関連の備忘録的ブログとしますので、ご了承ください。

『FullProf』とは粉末結晶構造解析に使用するリートベルト解析用プログラムのひとつです。欧米では主流なのではないでしょうか。日本人であれば『RIETAN-FP』というすばらしいソフトウェアがあるので、私が『FullProf』を積極的に使用する理由はただ一つです。J-PARCの中性子回折データを『Z-Rietveld』でうまく解析できないデータがあったので、『FullProf』だったらできるのかなぁ?という疑問をかねてから持っておりました。研究室のmeetingの時に、『FullPorfにチャレンジしてみたい』という話をした所、『俺、FullProfできるよ』というポスドクさんがいたのがきっかけで『FullProf』の修行が始まりました。実際には多重度の異なるサイト間での占有率の制約条件の設定の仕方等、そのポスドクさんは『やったことないから、わからない』ということで、ほぼ独学でやってきたことなので、間違っていることは多々あると思います。ここに書いたことが間違いで、それによって損害が生じたとしても責任は負いかねます、ということをお約束として、まずは記しておきます。私自身、ずーーーと『RIETAN-FP』にお世話になっております。今後もそれは変わりありません。粉末X線回折(XRD)データのリートベルト解析であれば『RIETAN-FP』を使用することを強くお勧めいたします。

FullProfの日本語での情報は『金研中性子粉末回折装置 HERMES』のサイト内の『磁気構造解析プログラムFullProf』とそのサイト内の『FullProf解析のTips集』に情報があります。オフィシャルな大学サーバ上のサイトなので、直リンクしませんが、Google先生に問い合わせればすぐに当該ページを教えてくれるはずです。10年前に更新は止まっていますが、データ入力ファイルの形式や占有率の設定の仕方など基本的なことは変わっていません。まずは、そちらのページを熟読することをお勧めいたします。またYoutubeには最新バージョンに近いFullProfを使用したXRDデータの基礎的な解析の流れを解説したものがありますので、これらも非常に参考になります。


1.RIETAN-FPとFullProfを比較した時に思うことは以下の通りです。
RIETAN-FPの長所
1)開発者の泉先生が日本人で日本語の情報が非常に多い
2)日本語版の入力ファイルがある
3)最終的な精密化結果を得るのが早い(発散せずに収束してくれる)
4)しかも精密化計算が早い(軽い)
FullProfの長所
1)精密化途中の計算プロファイルと残差の変化が見える
2)ほとんどのことはEditor of PCR Files(GUI)上で操作できる
3)一部の制約条件は自動で入力される
FullProfの短所
1)パラメータを多くして精密化すると簡単に値が発散する
2)さらに値が発散すると構造因子の入力内容が消えてしまう場合がある
3)占有率等の制約条件は直接入力ファイルを編集する必要がある
4)なんだか遅い

2.FullProfを使用した私独自の解析の流れは以下の通りです。
1)データファイル(*.dat)を作成
2)データファイルを元にFullProf Suite ToolBar上にあるWinPLOTRを使用してバックグラウンドファイル(*.BGR)を作成
3)ED PCR上でcifファイルから構造モデルを読込み入力ファイル(*.pcr)の雛型を作成
4)ピーク形状に関するパラメータを丁寧に精密化
5)バックグラウンド点数を増やし、最終的にはバックグラウンドファイルを適用
6)構造因子の値をひとつずつより丁寧に精密化
7)パラメータの値がほとんど動かなくなったら、占有率等の制約条件を追加して精密化

3.私が経験したFullprof関連のトラブル・注意点は以下の通りです。
1)各ファイルのパスに2バイト文字(日本語)があると読み込みができない
2)仮想的化学種を使用して作成したcifファイルから構造を読込んだ時は適当な原子に変更する
3)非対称パラメータを精密化する時には、『Patterns information』の『Geometry/IRF』の『Peaks below this 2Theata limit...』を入力すること
4)占有率・原子変位パラメータの制約条件は『保存』アイコンを押した後に『*.pcr』を直接編集する

占有率・原子変位パラメータの制約条件の具体的な入力については来週?