とある大学のTechnician(技術職員)

とある大学の技術職員の海外研修の記録です

第11週目 集中講義

f:id:ToaruDaigakuNoTechnician:20170617032905j:plain       米ドラマでよく見るテーブル付の椅子に座り講義を受けます

 

今週は月から金まで朝9:00から11:00までの2時間、ボスの集中講義がありましたので、聴講してまいりました。日本では固体電解質の結晶構造解析について研究を進めていたので、電気化学の研究室でお世話になるにあたり、見たことはあるけど、経験したことがないことがいっぱいあったわけですが、それらの物理的裏付けの理論を本講義にて、きっちりとご教示くださりました。(学生時代に勉強したはずですが・・)

ボスの講義はとても情熱的で、マイクを使用せず、学生たちに直接語りかけ、右へ左へ、時には学生のすぐそばまで歩み寄り、まるで次世代の研究者へバトンを渡すかのように講義を進めます。40名ほどの聴講者でしたが、寝ている学生は1週間を通して一人もいなかったように思います。また、数名の教員も聴講しに来ていることに驚きました。また毎日120分の講義の中で100枚以上のスライドを使用していますが講義後にすべて、メールにて送信してくださります。ラスト15分になると、お話の口調が早口になり、私には聞き取り不可になってしまいましたが、とても内容の濃い講義でした。本日の最終日の講義終了後に聴講者から自然と拍手が沸き起こる、とてもすばらしい講義だったと思います。

 

コーネルでは毎週のように外部の先生を招いて講演会を開催していますが、そこにも多くの学生と教員が参加しています。開催1週間前と直前にメールで講演会の案内が流れてきますが、工学系の教職員全員に一斉に送信ではなく、送信案内を出す方も工夫しているように思います。これが『工学系全体の教職員メーリングリストへ一斉送信』であったなら、おそらくこの数倍の量の案内になり『またかぁ』と思って案内すら見ないかもしれませんが、毎回届く講演会の案内を見るとギリギリ興味があるなぁ的な内容なので、『時間があったら聞いてこようかなぁ』と思うものばかりです。本日の夕方にも『An Ultra-High Power Phenothiazine Based Polymer as an Organic Cathode for Metal-Ion Batteries』と、面白そうな講演会があったので午前中の2時間の講義を終えた後でありましたが、聴講して参りました。

日本では、自分がかかわっている講演会以外に参加するのはまれで年に1・2度あるかないかでした。コーネルでは、2か月で2回の講演会に参加しました。どちらの講演会も聴講して良かったと思います。講演会の案内をチェックしまた、参加してみようと思ってしまいます。日本では、講演会の聴講者集めにとても苦労するのに、この差は、いったい・・・おそらく一番の理由は日本では『余裕』がないからではないかと思います。自分の知識を広げるために講演会というのは素晴らしい機会であり、だからこそ大学で講演会を開催する意味があるのだと思います。『大学の講演会のあるべき姿』がここにあるように思います。日本に帰るまでに、良い講演会のスパイラルをどうやったら作れるのか考えてみたいと思います。いい研修テーマをまた見つけることができました。