とある大学のTechnician(技術職員)

とある大学の技術職員の海外研修の記録です

第36週 Cornell大学の日本語教育

 f:id:ToaruDaigakuNoTechnician:20171204234231j:plain日本語で『少年老い易く学成り難し』とありました。(元は漢文ですけどね)

2週間に一回のペースでCornell大学で日本語を学ぶ二人の学生さんから日本語のインタビューをうけておりましたが、その総まとめとしてのプレゼンテーションがありますと日本語の先生から連絡をいただました。好き放題、話をしていたので、彼ら二人のプレゼンがどのようにまとめられたのか、興味があり、Cornell大学の日本語教育の授業を見せてもらえる良い機会なので、プレゼンテーションを聞きに行って参りました。
教室へ行くと10名ぐらいの学生さんがいらっしゃいました。日本語の先生とはメールで何度もやり取りをしていたのですが、この時に初めてお会いし、ご挨拶をいたしました。プレゼンテーションに先立ち、2人のプレゼンテーションにでてくる難しい日本語の単語について、意味を下の選択肢から選ぶような簡単なQuizがありました。問題も含め当然すべて日本語です。問題を見てみたら、『助成金』や『触媒』とか、日常生活ではまず使用しない漢字の単語ばかりでしたが、学生さんはスラスラと回答を埋めていくのを見て驚きました。
まずはI君。『研究者の仕事について』という内容で私の話をまとめたのだそうです。私の大学のキャンパスの写真をトップに持ってきてくれており、私の事をちゃんと調べてくれたんだぁとちょっと感動しました。インタビューの時に『私の場合、本務は研究所の運営なので、昼間の時間帯は仕事に追われ、朝と夕方の短い時間帯だけが集中して自分の研究ができる時間なんだよ』という話をしたのですが、『日本の大学の研究者は昼の時間は学生の面倒見で研究する時間が少なく、一日のうち2時間ぐらいしか研究できない』という内容になっておりました。まぁ、正しいのでそれはそれで良いかと(笑)。彼曰く、研究の話をしている時の〇〇さんはとても楽しそうで、本当に研究が好きなんだなぁと思いますと、コメントしてくれました。そして彼は『私も研究者になりたいと思いましたが、〇〇さんほどのpassionがないから難しいと思います(笑)。私はプログラミングが好きなのでプログラミングを頑張りたいと思います』と最後にまとめてくれました。
つづいてC君。『燃料電池について』という内容で私の話をまとめてくれました。C君も私の大学のキャンパスの写真を使ってくれていました。C君自身も燃料電池の事を勉強をしてくれたらしく、『水素と酸素で発電する仕組みを燃料電池というんだけど、ポイントは水素または酸素がイオンになって、そのイオンが燃料電池の中を通って電子が燃料電池の外で仕事をするのがポイントだよ』という話をしたのですが、きちんとそのポイントを図で示してくれました。トヨタ燃料電池車を7万ドルというビックリする値段で売り出してくれたけど、庶民には高いよねぇ、という話をしたのですが、『7万ドルでトヨタが売り出したすごさ』よりも『7万ドルは高い』という印象で伝わってしまったようです(笑)。燃料電池車と水素ステーションの問題について、『鶏が先か卵が先か』という話をしたのですが、その話もしてくれました。
プレゼンテーションの後に質疑ということで、プレゼンを聞いていた他の学生さんからいくつか質問をいただきました。その一つに『プレゼンにあった写真はSHキャンパスと書いてありましたが、〇〇さんがいるのはそのキャンパスですか?』という非常にLocalな質問がありました。『私はYキャンパスです。なぜ、そんなことをしっているの?』と彼に聞き返したら、おばーちゃんが茅ケ崎に住んでいるとのこと(笑)。親近感がわきました。何人かの質問にお答えした後、プレゼンをしてくれた二人からお礼の言葉とプレゼントをいただきました。インタビューそしてプレゼンテーション、とても良いCornellでの思い出の一つとなりました。
後日、朝、自分の部屋へ向かう途中に日本語の先生にお会いしました。『もしかすると、今までもお会いしていたのかもしれませんねぇ』という話と、先日のプレゼンの感想を聞かれました。先生曰く『彼らは4年生ですが、まだ敬語の使い方がむずかしいんですよね・・』ということでした。率直な私の感想として、部屋の中ではすべて日本語でとおし、どの学生さんも同じレベルで日本語を使いこなすことができていることはすごいと思います、と伝えました。先生にお話をお伺いすると、1年生の時は週8コマ、つまり曜日によっては1日2コマの日本語の授業があるのだそうです。そして毎日、授業のレポートと宿題があるのだそうです。外国語を使いこなすために本格的に学ぶなら、これぐらいは必要なんでしょうね。彼らの日本語のレベルなら卒業後は、日本語を生かした仕事が十分できると思います。しかし、日本語の敬語を英語圏の人が理解するのは本当に難しいと思います。英語なら、友達と話す時も教授と話す時もすべてYouで済んでしまう訳ですから。このSimpleさが英語の良い所なんだと思います。