とある大学のTechnician(技術職員)

とある大学の技術職員の海外研修の記録です

第25週 日本とアメリカの学校の違い

f:id:ToaruDaigakuNoTechnician:20170922233842j:plain               霧のコーネル

 

先々週と先週は9月だというのにとても寒かったわけですが、今週末はなんと最高気温30℃の天気予報が出ています。その数日間が過ぎるとまた最高気温20℃、最低気温10℃と寒さが戻るわけですが、体調管理に気を付けないと風邪をひいてしまいそうです。

新学期が始まり、Cornell大学で日本語を教えている日本人の先生より、授業の一環として2週に1回、学生と話をする機会を作ってはもらえないかと依頼がありました。毎年Visitingで来る人にお願いをしているのだそうです。特に断る理由もないので、お引き受けいたしました。アジア系の4年生2人が私の担当となりました。彼らの日本語での質問に対して日本語で答えて、そのやり取りを録音し後日レポートにまとめる、ということだそうで、外国語を学ぶという意味では、かなりハードな内容だと思います。なぜハードかといえば、Cornellの学生らしく、非常に難しい内容の質問をしてくれるからです。『燃料電池の研究というと、具体的にどのようなことをしているのか、一般的な燃料電池の課題は何か、どのようなアプローチで解決できるのか?』、『日本はなぜ少子化なのか、その解決策はあるのか?』、『日本とアメリカの教育制度の違いを教えてください、どちらの方が良いと思うか』等、私が所属する日本の大学の4年生なら、そんな質問をまずしないだろうなぁと思いながら、『無責任な自分自身の考えである』、ということを前置きに好き放題答えています(笑)。

せっかくの機会だったので、あらためて『日本とアメリカの教育制度の違い』について考えてみました。とりあえず小学校を比較すると

1)クラス 日:30数名、どのクラスも見た目がほぼ同じ(机の並び方など)

      米:20名以下、クラスごとにバラバラ(教員のやりやすい形式)

2)授業  日:クラス全員、米:数学や英語などはレベル別

3)通学  日:子供のみ、米:親が見送り、お迎え(バス乗場も)

4)教員と親のコミュニケーション

      日:問題があった時のみ、米:かなり濃い(多い)

と、かなり異なり、日本は集団生活に重きを置き、アメリカは個人の成長に重きを置いている、という感じです。インタビューの時には一概にどちらが良いとは簡単には言えないと学生たちには答えました。

またアメリカのハイスクールに至っては、そもそも自分が所属するクラスはなく、すべての授業は自分でカリキュラムを組む単位制で、ほぼ大学みたいない感じです。そして宿題が山ほど出る・・小学校以上により個人にフォーカスした教育となっています。日本の中学・高校では同じ制服を着て、クラス全員で同じ授業を受けるわけで、小学校の集団化をさらに進めた感じですよね・・そうそう、アメリカではハイスクールまで義務教育だそうで、入試はありません。これも大きな違いですね。

さて、最後は大学の比較ですが、私の所属する日本の大学とCornell大学は学部生の数がだいたい一緒なので比較をするのに非常に都合が良いわけですが、最も目に付く違いは、教職員数だと思います。(いや、一番は面積差、30倍の広さか?)私の所属する大学は1教員・職員あたりの学生数が平均よりも多い(つまり教員・職員数が少ない)ということもあるかもしれませんが、Cornellの教員・職員数はおそらく数倍多く、1教員・職員あたりの学生数は数分の1だと思います。ただし雇用形態はほとんどが短期契約のようです。うちの大学では任期付きの職員は『3年』経過すると、再契約というのは稀ですが、Cornellでは1年契約で10年以上働いている事務職員さんがいらっしゃいます。というか、専任の事務職員さんに私はあったことがないかもしれません。研究サイドでもポスドク以外にResearch Associate、Research support specialist、Technicianなどの様々な肩書の方がグループ予算で雇用されており(Technicianは大学予算で雇用されているみたいです)、1年契約だけど20年以上いらっしゃる方が何人もいらっしゃるそうです。アメリカはキャリアアップが盛んなので、短期契約で仕事をしてスキルアップして他の仕事に就くというスタイルが根底にあるので、雇用形態に問題は全くないそうです。お話を聞いているとパーマネント職は教授だけなんじゃないかと思うくらいです。教職員は学生をしっかりサポートし、学生は目いっぱい成長しようと、高い意識を持っているように思います。世界ランク19位は伊達ではありません。うちは1000+位だったっけ・・・日本では少子化という問題があり、教職員数を安易に増やせない理由もわかりますが・・・(あれ、大学の話になったら学校制度の違いではなく、愚痴みたくなってしまいました)

とはいえ、日本には日本の風土に合った学校制度、アメリカにはアメリカの風土に合った学校制度なので、雇用の形態も含め一概にどちらが良いとは言えないことは事実だと思います。